木の道具・器の仕上げ方/扱い方について

 

木地の製作は、荒加工の段階では機械を使いますが、仕上げはほとんどが手道具を使い、刃物の削り面を残しています。

材木の繊維に沿って削ると、木目がくっきり出て撥水性もあるので、経年変化が美しいです。

場合によっては、繊維に直交する削りや、鋸の挽き目を残した仕上げもあります。

 

塗装法はオイルフィニッシュと拭き漆仕上げです。

塗膜の強いものに比べ、木地の感触を見て触って感じていただけると思います。

 

 

 

◇塗装法 [ 荏胡麻油 / 蜜蝋/ライスワックス/漆/ 鉄染液/木酢酸鉄溶液/炭粉/酸化チタン/アルミ粉]

 

オイルフィニッシュでは、乾性のある荏胡麻油(食用)と蜜蝋やライスワックスを混合しています。

拭き漆仕上げでは、鉄染液で黒くしたり、白色顔料の酸化チタンやアルミ粉、炭粉を塗装段階に応じて混合しています。

 

・荏胡麻油

乾性油なので塗装後、一週間ほどで空気中の酸素と反応して硬化していきます。

食用としても使えるので、食事に使われる木工品の塗料に適しています。

 

・蜜蝋

ミツバチの巣を湯で煮溶かして採取。用途はろうそく・ワックス・化粧品など。古代絵画のメディウムにも使用されていて、水・酸などに強い。

 

・鉄染液

木材に含まれるタンニンと鉄を反応させて黒色を呈する。鉄漿(お歯黒)の原理。

 

・酸化チタン(白色顔料)

化粧品の原料に使われている人体に無害で非常に安定な物質。漆と混合して使用。

 

 

 

 

 ◇取り扱いについて

 

無垢材の加工品なので湿度変化による反りや汚れの付着が起こるということを前提として使用して下さい。

 

熱気や湿気のこもる場所、空調・直射のあたる場所などでの長時間使用はお避け下さい。

 

塗料は充分に拭き取って仕上げていますが、環境の変化によって木の内部に保持されていた油が染み出す場合があります。使い始め時は底面等の接地部にはお気を付け下さい。

 

オイルフィニッシュのものは濡れた状態で金属製のものに長時間触れ続けると黒染みができます。また、鉄染漆(黒漆)はレモン果汁やお酢が染み込んてしまうと、その箇所だけ色が透けてしまうことがあります。

 

トレイやプレートなどの板物は、棚やテーブルに置いたままにすると、反りが生じることがあります。そのまま放置しておくと癖がつきます。なるべく動かして使ったり、裏向き・縦置きにしてしまうなども反り防止になります。

 

 

 

 

 

◇手入れについて

 

使用後は水につけ込まずにやわらかいスポンジで洗ってから乾燥させてください。なるべくは、木地表面を傷つけないほうが撥水性を維持できます。目立つ汚れのない時は乾拭き・水拭きでも構わないと思いますし、日常的に使用する場合はサラッと洗う程度で構わないです。ただ、長くしまい込む場合はしっかりと洗剤で汚れを落として下さい。汚れが残っているとカビの原因になります。

 

表面の塗膜は強くない(漆塗装も同じく)ので使用していくうちに木地表面が乾燥してきてたと感じたら荏胡麻油や胡桃油などの乾性油での手入れをおすすめします。布にオイルを少量ふくませてからすり込むように拭き上げて、一週間ほどは通気のある場所に置いて乾燥させて下さい。